『だから映画は物語を紡げるのだ。』
「映画とは想いの嵐だ。」と大林監督は語る。
「ではこれよりちょっと不思議な物語をいたしましょう。もちろん戯れにですが・・・」
という主人公のモノローグで始まるこの映画は、世界は滅びると信じて育った四十四才の男の、悲しい想い出と不思議な廻り合わせを描いている。
エンドロールまでは。
しかしその後の「僕がこの物語で最も望んだ場面をお見せしよう。」という可愛いシーンで(監督曰く「映画はハッピーエンドでなくっちゃね!」)幕を閉じ、観客は幸せな気分で劇場を後にする。
幸せな映画だ。
今回、DVDのプレミアムセットに付いて来たメイキングDVDには、その幸せのお裾分けに溢れていた。
普通映画の本編に、あくまでオマケとしてインタビューや裏話などが収録されている程度のものが「映像特典」という概念でいた。
この「22才の別れLycoris-葉見ず花見ず物語」のメイキングDVDはたっぷり2時間、普通は制作に携わった人たちだけの「宝物」が、惜しげもなく収録されていた。
紛れもなく「幸せな映画」であったのだ。
主人公のいちファンとして、至上の喜びである。
リコリス色の紙パッケージは、まるで古い文学全集の一冊のようで、これもまた嬉しい宝物になった。