『ゲイリー・ギルモアよ。安らかに』
祖父はアルコール依存で暴力も多かったらしい。父もアダルトチルドレンなのだろう。父親から学んだことは、お前はダメな奴、望まれて生まれてきてないということである。父親に褒められたことも抱きしめられたこともない。幼い頃から、暴力、皮肉、侮辱がいつ飛んでくるか、神経を研ぎ澄ませ、存在を消すように努めてきた。俺は、本当のことを何一つ言わないし、何を考えているのか。何を感じているのかまったく感じさせない人間として振る舞ってきた。そうしないとやっていけなかったからだ。だが、そうしてきたことにより、問題が避けがたく露呈し始めている。他人と会話をしてもコミュニケーションが取れない。俺は自分のことを語っているようにみせ、誰かのことを語っているからだ。そして他人の存在がないかのように振舞ってしまうことだ。自らが存在していることになにか罪悪感みたいなものを感じる。だから、人に俺という存在と関わることで迷惑をかけたくないのである。弱さを見せるな。泣くな、情けないと育てられ、泣くことがなくなった俺から、読んでいる最中、涙に体が震える。この本は俺のために書かれていると感じたからである。