『正やんという個性を再確認できる、ほんまゴツ過ぎる懐メロですわな』
90(80)年代の2曲程度に1曲、70年代の「風」他の曲を挟んだような構成、昔の曲になる度懐かしくて、どうしてLPレコードでなく、デジタル再生装置から正やんが聴こえるのだろう、と不思議な錯覚に陥りますわな。
今の耳で聞きますと、正やんの世界というのは、(いい意味での)素人感覚のアレンジ、日常感覚の何気ないが誰もが共感できる爽やかな歌詞、クールでありながら、優しさを秘めたメロディにある。ちょっと聴いただけでどれも正やんの曲、って分かりますわな。朝の子供番組の「ただいまママ」、山本潤子さんが歌った「緑の季節」も大好きです。
歌い方も独特の正やん節やし。本盤でも「暦の上では」のサビの高音が繊細で、爽やかですなあ。歌に入るときの、ちょっとした溜めを置いてかすれたような声のボーカルが渋くてエエ。「分かれ道」「君と歩いた青春」「そんな暮らしの中で」「ほおづえをつく女」「なごり雪」「moonlight」「海岸通」「MUSICIAN」「海風」「22才の別れ」と、かぐや姫?風?正やんソロと横断してホンマ、ゴツ過ぎる懐メロですわな。こんなオンパレードでけるの、他にユーミンと故ZARDくらいでないですか。90, 80年代の曲でも、「けんかのあと」「さよならの到着便」「9月の島」「スモークドガラス越しの景色」、特に「冬の地下鉄」には繊細で鋭敏な感覚に溢れた詞曲があって発見がありますし。
賛否両論がある正やんの最近の歌い方(2000年以降のライブでのなごり雪や22歳の別れ)ですが、音程をわざと外したり、サビを大幅に変形したりするのは、アリスや拓郎、かぐや姫もライブではガンガンやっとった。80年代のソロの時代まで続いたあごヒゲとサングラスに覆われた繊細で傷つきやすい正やんの感性が、いまさらはにかんだり、さりげない反抗をする歳でもなくなり(ファンもそうなんですが)、スタジオでの「冬の地下鉄」等では主情的に歌われとります。30年来のファンのわてには実に楽しめますけども・・・