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悠城 早矢

青空のゆくえ

『出来そうでできない、丁寧で真面目な青春映画』
監督の映画感なのか、本が良かったのか、こんがらがりそうな女の子たちの思春期の言動・
行動の描き方は、くすぐったい程にいたいけで、その実、日々の心中は大なり小なり揺さぶら
れていることを、大袈裟な事件も起こさず、衝撃的な場面も抑制している。

高橋(男)と矢島との関係は、毎日配達する手紙の存在と、数少ないプレイバックで十分。
ドラマにしようとすれば、ストーリーの流れが分断されて、蛇足な盛り上がりとエピソードが
要求されるし、数少ない家庭環境等、昨今のドラマに見られる、時間配分(尺)を意識したもの
が出来上がりそうだ。
と書くとわかると思うが、本作のクライマックスは矢島との10分程度のやりとりである。
これのために、残りの場面があったと言っていいくらいで、高橋(男)が自分を許せない男気、
苦悩が分かるし、それは矢島についても言えることで、2人が目を合わせたことで氷解して
いく描写は、作れそうで作れない感動的なものだ。

さて、好演と評価された女の子たちだが、複雑そうな心理描写を5人が5人ともキャラ作りに
成功していると思ったのだが、女心とは意外にストレートなんだなと思った。
高橋(男)が、明るくみせているところで、結構ポイントになる発言するし、行動をとる。

全体的にみて、健全で善人しか出てこず、ほんのり哀しい。
こうした映画は、現在の事件性の高いテレビドラマや、悲哀度の高いテーマの映画よりも、退屈にさせないように作るのが難しい。
はっきり言えば、冒頭「監督の映画感なのか、本が良かったのか、」と書いたが、出演者に依るところもポイントが高い。つまり、演技が上手かった。
以前、映画『櫻の園』という強力な女映画があったが、男性が2人しか出ない、この作品は、それが故に良かったと思ったが、通じるところがあるかも知れない。

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