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宮崎 陽子

耳をすませば

『魅力的な小品の数々』
スタジオジブリの作品といえば,久石譲さんが音楽を担当されることが多く,世間的にもその印象が非常に強いようです.それでは,この「耳をすませば」のサウンドトラックを,野見祐二さんではなく,久石譲さんが作っていたら,と想像すると,実は,根強い人気をもっている現在ほどにこの作品や,サウンドトラックが支持されることはなかったのではないかと思います.

古い民族楽器を使用した室内音楽の小品たちは,街の中の日常や,多感な時期を過ごす主人公たちの心の内を見事に表現していています.久石譲さんの雄大なオーケストレーションで表現したら,映像と音楽がお互いをつぶしあってしまったのではないか,と思うわけです.

たとえば,これからはじまる物語への期待を大きく膨らませてくれる「1. 丘の町」と「2. 猫を追いかけて」は,ピアノやフルート,小編成の弦と古楽器が絶妙なハーモニーを見せていますし,それと対比するようにシンセを使って,気だるい午後を表現した「7. 電車に揺られて」や,落ち込んでいた心が一気に晴れ渡る「13. 流れる雲,輝く丘」と続く「14. きめた!わたし物語を書く」は,ピアノと弦,それに古楽器を用いて澄んだ旋律を生み出しています.

「10. ヴァイオリン・チューニング」から続く「11. カントリー・ロード(ヴァイオリン・ヴァージョン)」で,ヴァイオリンの素朴な音色からはじまり,今はあまりかえりみられないリュートや,ツィンク,バス・ヴィオールなどの音色が加わっていくさまは,映画を観た方にも,そうでないかたにもとても印象的なものだと思います.

「19. 追憶」や「20. バロンのうた」のほか,小粒ながら,「3. 地球屋」や「4. エルフの女王」など場面に応じた繊細なメロディも,間奏曲のようにバランスよく入っていて,アルバムとしてのバランスも良好.「22. 夜明け」から続く「23. カントリー・ロード」も単なるエンディングテーマではなく,アルバムを締めくくる一曲になっています.「耳をすませば」が大好きな人にも,ちょっと苦手という人にもお勧めの作品です.

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