『憂鬱な心象風景』
「廃墟ノスタルジア」は数ある廃墟写真集の中でもお気に入りの一冊です。
アンニュイで憂鬱な心情を常に持つ人には、世界の眺めがこのように映ります。
それを良く伝えているのが空の色合いです。他の多くの写真集では、
真っ青にカラッと晴れた空が映っているのであまり好きではないのですが、
この写真集では、霧に包まれていたり、曇りの日だったりが多く、
著者の「繭夢」という名の繊細な感性によく合っていると思います。
輪郭が鮮明で現実的なドキュメント写真を欲している方には不向きな作品群ですが、
心の中にある廃墟、記憶軸上にはない郷愁に浸りたい方にはお勧めしたいです。