『陰湿ではないリアリズム』
アントニー・ビーヴァー氏の著作ですが、基本は赤軍記者グロースマン氏の取材ノートなので
「スターリングラード」「ベルリン陥落1945」のような陰湿的ともいえる凄さは薄れています。これは評価の別れどころでしょう。
「鼠たちの戦争」「戦火の果て」のような赤軍視点のフィクションはありましたが、ノンフィクションは本書が初めてではないでしょうか?
赤軍についてよく云われるモラルの低い行動については殆ど触れられていませんが
(実際の東部戦線がどのようなものであったかは、「戦場の狙撃手」などを見れば分かります)
リアリズムは伝わってきます。
編集後記を読むと、ここまで赤軍を美化したグロースマン氏でさえも、ずっと当局にマーク
されていた事が分かります。
思想統制の恐ろしさです。