『映像は素晴らしいが・・・残念!』
一見して吉田喜重監督の映像に対するこだわりが伝わってくる作品。映画全体にいかにも日本的な陰々とした雰囲気が充満していてかなり好み。富士太郎坊でのロケ場面は、画面に山の斜めのラインをうまく撮り込んでおり、さびしい荒野の不安な感じが良い。また、館セット内のシーンでは、柱や梁で垂直水平に画面を区切るショットが多く、明暗のコントラストも鮮やかにキリッと引き締まった感じ。物語の陰惨な展開を十分予感させてくれます。「もともと持っている狂気を増幅するように演出した」と監督が語る主役の演技は、松田優作の般若のような激しさや、田中裕子の能面のような妖しさがこの映像とマッチ。こだわりの吉田ワールドに触れるだけでも一見の価値はあるかもしれません。が、安っぽい髑髏の模型を見せすぎて台無しにしてしまっているところが玉に瑕で残念(すぎる)。