『強い芯を感じます』
雑誌に載ったエッセイをまとめたものです。聾唖があると言語の習得が遅れるそうで、著作活動は初めてとのことでしたが、なに、実際には明るく平易な筆致で快く読んで行けます。昔の電話は無用の長物だったが、携帯メールが使えるようになったら手放せなくなったなど、聾唖者の日常生活や女優としての信念が語られています。聾とは関係なく、忍足さんの前向きな姿勢に励まされます。
よく考えてみると、英語のサブタイトル Can you hear the sound of love? というのはなかなか挑発的でもありますねえ。「(人の声は)人それぞれ違うのでしょう」とさらりと書いてしまったり、『医学や工学の進歩で聴覚が得られるようになるとしたらそういう手術を受けたいか』、という問いに(一部は実現されています)、音を聞くというのがどんなことかよくわからないからわからないし、それで失う鋭さがあるかもしれないので不安だといったり、「これが自分の正常な状態」という自信が溢れています。やはり新しい道を切り開いて行く人は違います。映画で見るとおとなしそうな美人ですが、これは大変な芯のある人なんだなあと思いましたね。