『課題図書を見直した。』
読書感想文の課題図書というと、おかたい教訓めいた本が想像されますが、本書を読んで課題図書のイメージが変りました。子どもの生来持っている冒険欲、秘密への憧れ、学校や社会への反発心、異性への憧れと葛藤など、子どもの心理をよく捉えて描いており、子どもが本書を読んだならば、大いに共感を生むのではないかと思います。授業をさぼること、帰りに寄り道をすること・・・どちらも学校としては肯定することはできなくても、子どもからしてみれば十分に魅力的であり、それを強制して抑えることはできない。そんな子どものあふれる気持ちをよく表現できていると思いました。
また筆者の巧みな文章力にも目をみはるものがあったと思います。リズムの良さ、心理描写だけでなく、情景描写のうまさなど、その映像が容易に想像できました。
児童のための文学という枠に捉われずに、子ども心を思い出すという意味でも、大人が読んでも非常に面白い作品ではないかと思います。
課題図書という「おかたい」イメージが私の中で一新された一冊でした。