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高杉 さと美

雪星/そして僕は途方に暮れる(DVD付)

『切なさのヴァリエーション。』
「そして僕は途方に暮れる」は奇妙なほど沢山の人にカヴァーされている。ハナレグミ、甲斐よしひろ、佐藤竹
善、BLESS、Tammy、村上ゆき、the Indigoなど、枚挙に暇無いといった感じです。それだけ名曲ということ
でしょう。大沢誉志幸の原曲と高杉さと美盤を繰り返し聴き比べると歴然と違いを感じます。男性ボーカルと女
性ボーカルでは聴こえてくるもの想像させるものが違う。本来この歌の内容はスマートや格好良さからは程遠い。
歌に込められているのは男の強がりと自嘲、やるせない喪失感といったものです。「僕は途方に暮れる」という
フレーズに弱音が映される。大沢誉志幸の歌を聴けばそのことがはっきりと感じ取れます。男の視点で描かれた
主観を間接的な描写で自虐的に響かせた銀色夏生の詞が絶妙に巧い。「見慣れない服を着た君が今出て行った/
髪型を整え テーブルの上もそのままに」という冒頭に、愛想尽かされた男の諦観と未練の狭間が如実に読み取
れる。彼の後悔は自身の不甲斐なさに他ならない。しかしこれを高杉さと美が歌うと、視点はむしろ出て行く女
性のほうについていきそうになる。それが思いにフィルターをかけてしまう。まるでここで表現される男の独白
が女性の側から想像されているかのように、美化された思い出のように甘くロマンチックに響いてしまう。この
歌の本質を言い当てるという意味ではそれは的確なやり方じゃない気がする。でも僕は高杉さと美のこの歌は好
きです。さりげなく裏声を使いながら、消えていく恋の後ろ姿を切なくなぞる歌唱に過ぎた夢の欠片が揺れるよ
うです。不器用な世界観へのオマージュ、さしずめ原曲への返し歌のような女性らしい優しさが感じ取れます。

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