『圧倒的な過去を回想し表現する能力』
上巻でダコイットに所属し、信頼できる人間関係を築き始めたプーランだが、安息の日々の訪れはなかった。盗賊集団に属するがゆえの仲間割れと殺し合い、復讐につぐ復讐、無知なプーランにとって、怒りのエネルギーにまかせて生きることこそが、自分の人生そのものであった。後に州政府と取引し投降、獄中生活を送った後に勉強し知識を身につけ、インド州議会議員として当選する。無知な慣習にさらされた弱い両親のもとに育ち、自らも慣習の犠牲となりながら、生まれ持ったエネルギーで議員になったプーランが、過去を言語化し表現する能力を身に着けたからこそ出版できた本である。思想的、主義主張的な色は一切ない。プーランからみた現実の人生が、まさに淡々とつづられている。著書には怒りが満ちている。無知でありながら無知から抜け出せない人々の、そして自分の運命に対するプーランの天性の怒りである。