『バッハは危険なドラッグである』
バッハ万歳!
ディスクを入れて流れ出た美しい歌声に一瞬、脳天が突き抜けるような刺激が走った。
「マタイ受難曲」は抜粋だが、これで十分かな、という質量だ。
ディスク2枚目もまたにくい演出だ。出だし勝負をねらっているに違いない。陶酔するのに第2楽章までちょっと待たされるが、美しい旋律にもはやなにも手がつかず、放心の境地に至ってしまう。
音楽や絵画の多くがメディテーション効果を付随させているが、バッハの曲は「昇天誘発曲」といってもいいのではないだろうか? 生きている苦難から解放させてくれる危険なドラッグである。